お勧めコミック: マイホームヒーローの感想
主人公サイドへの感情移入、明らかに極悪な半グレたち。読んでいてこんなに緊張感のある漫画は久しぶり、というか初めてかもしれない。短いせいもあって、一気に最後まで読んでしまった。寝不足も上等と思える漫画に出会えるのは幸せなことだ。
導入部のストーリーを箇条書きで。
- 主人公・鳥栖哲雄は、映画 Searching を思い出させるちょっと過干渉のオヤジ。一人娘の零花を溺愛。まあまあ良い関係を保っている。
- ある日、一人暮らしをしている零花と喫茶店で会った鳥栖哲雄は、娘の顔に殴られたあとを発見する。帰り道、すれ違ったヤクザ風の若者が娘の名を口にした。「まさか」と思いながら尾行すると、見つかってボコボコにされる。
- 娘の安全を本気で心配するようになった哲雄は、合鍵を使い娘のアパートをチェック。そうしているうちにヤクザの彼氏が帰宅。哲雄はクローゼットに隠れる。
- ヤクザ彼氏は、仲間との電話によって哲雄の尾行を知り怒り狂う。凶暴な性格、元カノを 2 人殺していることが明らかに。
- 哲雄は娘を守るため、不意打ちでヤクザ彼氏を殺害。警察に届けてもいずれヤクザの復讐を受けると考えた哲雄は、妻とともに殺人の隠蔽を図るが・・・
2021 年 2 月、第二部まで含めて再読。第一部から一ヶ月後、半グレを含む数人の男が零花にアプローチする場面から始まる。誰が半グレなのか・・この謎はわりとすぐに明らかになるが、そこからは相変わらずの緊張感のあるサスペンス展開。
第二部では、哲雄と歌仙の過去や実家の正体が明らかになる。第一部に比べるとややベタな印象だが、三つ巴の抗争をうまく描く筆力はさすが。

主人公
鳥栖 哲雄 (とす てつお)
仕事はおもちゃ会社の営業、趣味は推理小説を読むこと、ネットに書くこと。これまでに約 50 の推理小説を書いている。その経験を生かしてヤクザ彼氏の死体を解体し、鳥栖夫妻を疑うヤクザ・恭一と渡り合う。
二部で、哲雄は生い立ちや歌仙の実家との間のトラブルを通じて、それなりの修羅場をくぐってきたことが明らかになる。推理小説の執筆を唯一の武器とする普通のおっさんだと思っていたので、ちょっと予想と違ったが、むしろこの方が現実味があるか。
名言
- そもそもお前たちが 娘を殺そうとしたから殺したんじゃないかっ..! 零花が..妻が.. 僕たち家族が生き残る「正解」がないんじゃないかっ..! お前たちが.. お前たちがいる限り–
- 僕たち家族の前にうまく生きていくための「正解」はない。だったら無理矢理にでも正解を作り出す! 推理小説を創作して!!
- 恭一さん あなたは正しい。..(中略).. 頭が切れ料理も上手だ。でもあなたは.. あなたは一人で戦った。だから僕たちは勝てたんだ。
ヒロイン
鳥栖 歌仙 & 零花 (とす かせん & れいか)
哲雄と妻・歌仙は、大学の頃からの知り合い。6 歳違いだが、演劇サークルで一緒だったようだ。動画作成や骨を恭一の家に残す場面で決定的な活躍をする。立場の上下はなく、かつお互いに思いやりを持っている。夫婦とはかくありたいものである。
哲雄が歌仙の実家に結婚を申し込みに行って殺されかけ、その際に、「普通の家庭を知らないキミ」と哲雄が言っていることから、暴力的な家庭で育ったことが推察される。家庭を守る意思の強さも、そのあたりに由来しているのかもしれない。ちなみにこれは哲雄も同様で、彼は両親を交通事故で亡くして身寄りのない状態だった。
2021 年 2 月追記: 以上は一部からの感想。二部では歌仙の過去が明らかに!
娘の零花は、もう少し賢くなった方がいいかもしれない。
サブ
真島 恭一 (まじま きょういち)
半グレ組織のメンバーで、哲雄夫妻が実は殺人犯ではないかと疑っている。父がヤクザに殺された過去を持ち、稼いだ金で実家の食堂を再建することを夢見ている。
最後の晩餐として哲雄にオムレツを作ってやるなど、実は人情家な部分もあるが、結局はその優しい部分を哲雄につけこまれる。
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