お勧めコミック: ラーメン発見伝のレビュー
概要
ラーメン版の 美味しんぼ。これは決して悪い意味ではなく、内容も美味しんぼのように面白いし、出てくるラーメンは美味しそう。巻末にあるラーメンに関するコラムも楽しい。
この漫画を読んでから、ラーメンを食べるのが楽しくなり、麺類、ラーメン、つけ麺などのページを作っている。以下のサイト内検索からどうぞ。

ビッグコミック・スペリオールで 1999 年から 2009 年にかけて連載。作・久部緑郎、画・河合 単、全 26 巻。

主人公
藤本 浩平 (ふじもと こうへい)
筋金入りのラーメン・マニアで、会社員ではあるが、いずれ独立してラーメン屋を始めるための修行として、夜は屋台でラーメンを売っている。会社にこの副業は内緒。
ラーメンに関するクイズ番組で「ラーメン・マニア・キング」で優勝し、ラーメン界の有名人になった。
ラーメンに関する知識は深いが、既存のラーメンのマイナーな改良に留まって創造性が足りないこと、経営に関する知識がないことなどを芹沢に指摘されている。「ラーメン発見伝」は、藤本が「ラーメンが中心」でありながらも、バランスを取りつつこの弱点を克服して成長していく物語とも言える。
ヒロイン
佐倉 祥子 (さくら しょうこ)
藤本の同僚でラーメンマニア。ずっと「友達以上恋人未満」の関係が続いていたが、最終巻では藤本と一緒に脱サラし、一緒にラーメン屋を開く。
サブ
芹沢 達也 (せりざわ たつや)
「らあめん清流房」のシェフで、フード・プロデューサー。ネットでは「ラーメンハゲ」と呼ばれていて、この漫画を知る前に何度かみたことがあった。
本作では主人公・藤本と対立しつつ導く立場で出演する。最後の場面で、藤本が芹沢を師匠と認識する場面は胸熱である。
普通の「先輩・ライバル」キャラと違うのは、かなり意地悪で腹黒く、客の味覚を信じていないこと。相当インパクトのあるキャラであり、続編でスポットが当てられるのも納得。「ラーメン発見伝の芹沢サン」という本も出ている。
22 巻で三原に「このハゲ!」と罵られて「な、なっ・・」「え、えっ・・?」と戸惑う場面は面白い。その後に続く「なんなんだ、この女は・・・ こんな性格で、なんで店をやってこれたんだ?」も良い。
名言
- そりゃあ、人間が粗悪だからさ。多少 強引でも、ああいう腐ったリンゴのリストラは早急を要する。
雑感
ラーメン発見伝と美味しんぼ
この漫画は、美味しんぼとの類似点が多い。ざっと挙げただけでもこんな感じ。
- 主人公は、料理の知識が豊富であまりやる気のないサラリーマン
- ヒロインはその同僚で、二人で料理関係の仕事をしている
- 仕事のできる上司と、人格が破綻した中間管理職
- トラブルが起こり、うまい料理を作ることで解決するパターン
- 主人公の料理対決が多い
絵柄も似ていたので、同年代かと思ってちょっと調べてみた。ラーメン発見伝は 1999 年から 2009 年にかけて連載。一方、美味しんぼは 1983 年からなので、美味しんぼの方がだいぶ古い。
上記の類似点は作者も認識しているようで、原作者の久部緑郎が岩見吉朗名義で書いた マンガの方法論 マンガ原作発見伝 (Amazon link) という本で、「意図してパクったわけではなく、藤本を中心に、他の名作を参考に設定を整えていったら似てきてしまった。ちょっとまずいような気もしたが、これは「なぜか笑助」「釣りバカ日誌」などにもあるサラリーマン漫画の典型的なパターン」のように書いている。
続編
芹沢と汐見ゆとりをメインキャラクターとした、続編の「らーめん才遊記」がある。これは雰囲気もあまり変わっておらず面白い。全 11 巻。汐見は、料理研究家である母親のキャラ作りのために長い間ラーメンを食べさせてもらえなかったが、半年前に父親と食べたラーメンが美味しくて、芹沢の会社に入社を決意する。藤本は登場しないが、汐見が感動したのが実は「ラーメンふじもと」のラーメンであることが、最後の場面で明らかになる。ここは感動。芹沢のセリフ「本物のラーメン屋だ」は、ラーメン発見伝の時代からの一つの回答とも言える。
さらに、芹沢がモチベーションを失うところからスタートする「らーめん再遊記」がある。これはちょっと 孤独のグルメ や 1日外出録ハンチョウ (いずれも Amazon link) のように中年男が生活を楽しむ場面が多く、本来の勢いが衰えているように感じる。YouTuber も魅力に乏しい。ただ、ラーメンに関する部分は流石にしっかり書かれている。天才・原田編は特に面白かった。
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