お勧めコミック: フラジャイルのレビュー

UBH/comic/comic_2/fragile

このページの最終更新日: 2024/01/23

  1. 概要
  2. 主人公: 岸 京一郎 (きし けいいちろう)
  3. ヒロイン: 宮崎 智尋 (みやざき ちひろ)
  4. サブ: 火箱 直美 (ひばこ なおみ)
  5. 私が Fragile から学んだこと

概要

正式タイトルは「フラジャイル - 病理医 岸京一郎の所見」。

患者と直接応対する「臨床医」の他に、患者の血液や組織切片の分析を行う「病理医」という医師がいる。日本医師会のサイト (1) には「病理の仕事は3つあります。組織診断、細胞診、病理解剖」と書かれている。

病理医は、患者の組織データなどをもとに 疾患の確定診断 を行う。臨床医は、これをもとに治療方針などを決定していく。日本では病理医は非常に不足しており、全医師の 1% 未満である。人口あたりの病理医数は、日本はアメリカの約 1/5 である (2005 年)。

基本的には病理医・岸京一郎の物語ではあるが、アミノ製薬の火箱、真瀬や弁護士の千石など、立ったキャラクターも出てくる。個人的には、森井が「技師としては優秀だが、医者になったらダメ」と言われたことのフォローが長い間ないのが気に掛かっている。

フラジャイル 評価チャート

主人公

岸 京一郎 (きし けいいちろう)

腕利きの病理医だが、人相、口、性格が悪く、他人との衝突が絶えない。18 巻の院長の言葉が正鵠をついているように思う。曰く、論理的な思考能力が低い人間をバカにする傾向がある。しかもそれを隠そうとせず、人前で鼻で笑ったり、舌打ちしたり、ため息ついたりする。

ただし非常に患者思いであり、保存されている組織ブロックを無断で持ち出して再解析する、矛盾のあるガイドラインには従わない (ガイドラインは法律ではない、13 巻の腎移植エピソード) など、ルールよりも患者を重視した医療を行う。

13 巻では、宮崎の行動を病院に密告して 3 日間の謹慎期間を与え、勉強する時間を作ってやるなど、意外といい上司の側面もある。

フラジャイル 岸京一郎

名言

  • 丁半を選んだ鑑別なんてただの賭けだ 診断じゃない 自分の鑑別にとことん責任を持てる自信がないなら それは「わからない」ということだ
  • その程度なんですよ 窪田プラン。コストカット 病院経営の救済... 程度。それで開業しろだの 仕事を振るだの 能力を発揮させるだの 僕に言ってるんですか わきまえてくださいよ
  • 患者のためになるならいくらでも怒ればいいけど 自分のために怒るんなら それはしまっとけよ

ヒロイン

宮崎 智尋 (みやざき ちひろ)

岸と出会い、病理部に転科してきたもと臨床医 (神経内科)。病理医としての経験はまだ浅い。ブラックジャックによろしく (Amazon link) 主人公のごとく、自分の理想を追って少し暴走する傾向もある。

喫煙者なのはマイナス要因だ。

フラジャイル 宮崎智尋

名言

  • (肝臓組織をこっそり持ち出す際に) ですよね! 倫理的には でも物理的には

サブ

火箱 直美 (ひばこ なおみ)

個人的には、優秀な臨床検査技師の森井が好みなのだが、とくに後半、出番が少なくなってしまっているので火箱さんを紹介。

登場したときは、アミノ製薬の MR。ドラッグデリバリーの JS1 という新しい薬品を推して、治験のグレーな部分にも手を染めているが、副作用の隠蔽まではついていけず、岸に味方して暴露。アミノ製薬を退職し、ビフィズスという小さな会社で働き始める。

明るい外見とは裏腹に、若い頃に兄が亡くなったトラウマをずっと引きずっており、いろいろとコンプレックスもある模様。医者を「落とす」のに色仕掛けも使うダークな面も。

17 巻では「ずうずうしくて距離感が狂っている チビで威圧感は無く 滑舌はやや悪くて 声と肌質が良い」ことから、MR に向いていると言われた。

フラジャイル 火箱直美

キャプチャの場面は秀逸。常に、研究者の矜持をこれぐらい断言できる状態でありたいものだ。

「俺たちは金儲けに人生を捧げたつもりはない 心躍るんだよ ヒトの身体に起こる難問を解決してみせる 世界中の誰よりも先に それをスーツの連中が金に変えてるだけだ」

「だが金のそばにいる経営者はそれを自分で稼いだと誤解する 傲慢という病だ」


広告

私がフラジャイルから学んだこと

けっこうたくさんあるのだが、それぞれのエピソードが重いので、まだまとめきれていない。再読時にリストを更新。

製薬会社

製薬会社は悪い。治験でいい結果を得るために色々な手段をとる。独立機関の研究に比べ、製薬会社が金を出した研究は、4 倍もその会社に有利な結果が出やすいという調査がある。

この調査が実在するかどうかわからないし、必ずしも治験で不正をしていることにもならないが、出版バイアスだけでもこういう結果になることは大いにありえるだろう。

放射線診断医

CT や MRI などの画像から病名をつける。病理と似ているが、病理が確定診断なのに対し、こちらは最初に病名のあたりをつけるのに使われるので、鑑別は複数である。

ホルマリン固定

浸透速度は一昼夜で 5 mm。過固定してしまうと酵素活性が失活したりして染まりが悪くなることがある。

卵とサルモネラ

卵は水洗いしてはいけない。気孔から雑菌が入り、濡れた状態で繁殖する。洗うなら次亜塩素酸入りの温水で、すぐ乾かす。

関連サイト

  1. 日本医師会 http://www.hachinohe.aomori.med.or.jp/simin/befm/befm17.html

コメント欄

サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。