私の好きな森村誠一作品ランキング
森村誠一
子供の頃、家にあった両親の本を手当たり次第に読んでいて、そのときに出会った作家の一人。2015 年の時点で著作は 400 冊以上、代表作の人間の証明は韓国、中国、ロシアなどでも出版され、累計で三千万部以上の大ヒット。正義漢で、代表作「人間の証明」2015 年版のあとがきでは、戦時中の独裁体制に触れ、憲法改変の危険性を主張している。1933 年生まれと高齢だが、ぜひ長生きしてほしいと思う。
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第一位: 人間の証明
子供の頃に読んだ森村誠一作品の一つ。ジョニー・ヘイワードの事件、妻を追う小山田、八代恭子のバカ息子という 3 つのストーリーが収束していく様子は、ストーリーラインのシンプルな子供向けの本とは違い衝撃的だった。のちにシリーズ化する棟居刑事の初登場作品でもある。進駐軍に父を殺され、人間全体に復讐するために刑事になったという棟居の生い立ちが語られる。
「人間の証明」というタイトルがいい。麦わら帽子 straw hat とストウハ、キスミーと霧積など微妙な英語を交えつつ、すでに貧富の差が大きかったニューヨークの様子も描き出す。「母さん、僕のあの帽子、どうしでせうね? ええ、夏碓氷から霧積へ行くみちで、渓谷へ落としたあの麦わら帽子ですよ」という西条八十の詩は何度読み返しても感動 (本文では、「渓谷」や「麦藁」が違う漢字で書かれている)。
オリジナル版の解説はなんと横溝正史。森村誠一の本文もそうだけど、やっぱり文章が上手い。「そうかと思うと作者はとつぜん筆を転じて、小山田武夫なるこの物語に全然関係なさそうみえる人物について語りはじめる」「これはひとつの雄大な交響楽的な小説なのだ」などは解説の文章だが、読みやすく、漢字・平仮名のバランスも考えられており、そこはかとないユーモアもある。
2017年のドラマ版を視聴。ニューヨーク部分、ドラ息子、新見がカットされているのは時間の都合上仕方ないとして、それ以外の感想をメモ。
- 棟居が組織から浮いてる描写が強すぎる?
- 種さん、 生かしておく必要あったか? 種さんがいないから八杉恭子の自白に賭けるしかなくなり、それが人間の証明という主題に繋がっているのでは。
- それ以外は全般に良かったと思う。
その他作品メモ
企業特訓殺人事件: 昭和 53 年の短編集。人工授精が不自然なもののように扱われていたり、モーレツ社員が出てきたりと時代を感じる。サラリーマンになるのは「要するに自分の能力を他人に捧げて、『他人の金儲けの手伝い』をするだけではないか。男と生まれたからには、自分の能力を他人に捧げるなんてまっ平ごめんである」と書いてあるのは痛快。
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