お勧め漫画: Q.E.D. 証明終了の感想

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このページの最終更新日: 2023/01/19


しばらく面白い漫画に出会えずにいたのだが、この漫画は「やはり長く続いて、長期間読まれている漫画はおもしろい」ということを再確認させてくれた。50 巻も続けられるのは、やっぱりそれなりの支持があるからということがよくわかる。

名探偵コナン と似た、数話完結型でありながら大きなストーリーもあるという形式の推理漫画。ヒロインの父が刑事 (コナンでは元刑事だが) というのも似ている。もう少し落ち着きがあり、現実的な路線なので地味なのだが、それでも面白いのは、ストーリーがよく考えられているからだろう。

数学の話がちょくちょく出てくるのもポイントが高い。ただし、40 巻を過ぎたあたりからは、国家間の調停に代表として参加したり、宇宙船開発への融資を担当したり、可奈が銃を持ったマフィアを叩きのめしたりと、ちょっとやり過ぎ感あり。

QED 評価チャート

主人公

燈馬 想 (とうま そう)

MIT を飛び級で卒業し、「普通の高校生活を送りたい」と言って日本の高校に入学。いわゆる安楽椅子探偵のタイプで、ヒロインを使いつつ推理だけするのが基本。豊富な知識を持っているが、人の感情には疎い。

MIT 時代のエリートをたくさん友人に持ってるのが強み。名前は走馬燈からきてるのか?

謎解きのときは、伝統的な「さて皆さん」から始めて、「よって ** は犯人とは考えられない」として容疑者を除外していく。ときどき除外した容疑者が復活して、実は犯人だったこともある。「証明終了です」で終わる。


名言

  • 水原さん 僕は自分の時間は自分のために使いたいんです。
  • 事実をそのまま見られる人は少ない。人は多くを推論で考える。大事なのは推論が外れることを恐れないことです。
QED 燈馬想 オイラーの公式

ヒロイン

水原 可奈 (みずはら かな)

おせっかい、運動神経抜群で明るいポニーテールの女子高生。よくイベントを企画している。父が警部で、そのためによく事件と関わり合いになる。このへんもコナンとの類似性が高いが、水原警部は蘭の父と違って優秀。

男勝りで強い設定。大体は現実の範囲内に収まっているが、ボーリングの球を転がさずに、投げつけてピンを倒すなどという場面もある。

数学などの学業が苦手なキャラとして描かれており、それを全く悪びれていないあたり、ちょっと「女は勉強なんて出来なくていい」という古い価値観を感じてしまい残念。ただし想の MIT の同僚には女性科学者も多く登場しているので、これは単に私の考えすぎかもしれない。

名言

  • 私はあなたにとてもよく似た人を知ってる。いつもその人に期待する。その人は自信を持って期待に応えてくれる。
QED 水原可奈

サブ

アラン・ブレード

主人公の MIT 時代の知り合い。ビル・ゲイツをモデルとした世界一の大富豪。開発した OS は Windows ではなく Wings。

悪い人間ではないが、自己中心的な性格のためトラブルを引き起こす。作中で秘書のエリーと結婚し、全財産の 3 分の 1 を寄付して慈善団体を作るという優しい一面も。

QED アラン・ブレード
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雑感

この漫画には多くの数学・物理ネタが出てくる。印象深かったのは以下。ものによっては簡単なコメントとリンクも。

  • オイラーの公式: eπi = -1
  • デデキントの切断
  • 超ひも理論
  • リーマン予想
  • ポアンカレ予想
  • 虚数と複素平面
  • ゴールドバッパ予想「4 以上の全ての偶数は、2 つの素数の和で表せる」: 5 x 1017 までは正しいことが確かめられているが、この予想が常に成り立つかどうかは証明されていない。
  • ABC 予想「互いに素な正の整数 A および B と、その和 C を考える。それぞれを素因数分解し、これを全部かけて 2 乗したものは常に C より大きくなる。数式で表すと C < rad(ABC)2」。

ゼノンのパラドックス

飛んでいる矢は動いているが、一瞬を切り取れば止まっているという有名なパラドックス。「無限論の教室」では、可算無限・実無限という立場からこれを説明している。下に紹介しておく。

QED では、「一瞬を切り取っても矢は動いている」と説明され、これが微分の意味とされる。どっちが正しいのか、いまいちよくわからない。

教科書というよりは科学読み物。今まで読んだ無限論の本で、文句無しに一番面白かった。

大学生の「僕」と「タカムラさん」が、2 人だけでタジマ先生の哲学のユーモラスな講義を受ける。アキレスと亀の話はどこがおかしいのか、という話から始まる。無限級数が収束することが解答になると思っていた人は、ここでまず大きな刺激を受けるだろう。話はそこから集合論、ラッセルのパラドックス、ゲーデルの不完全性定理へと続く。

たとえば「自然数」は「無限」に存在する。これを「そこにある完結した無限」として捉えるのではなく、0 に 1 を足していく規則として捉える 可能無限 の立場が本書の特徴。一方、「実数」も無限個存在するが、これは一つの規則で記述できるものではないようだ。最後の一文は、無限論の余韻を残しつつ情景を鮮やかに浮かび上がらせる美しい締めになっていると思う。Kindle 版あり

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アップデート前、このページには以下のようなコメントを頂いていました。ありがとうございました。名言に追加しました。

2018/07/31 09:17 私はあなたにとてもよく似た人を知ってる。いつもその人に期待する。その人は自信を持って期待に応えてくれる。ぜひカナちゃんの名言として追加して下さい。私のとても好きな言葉です。