お勧めコミック: 怨み屋本舗のレビュー
神アプリ の著者である栗原正尚の代表作で、多数の続編がある。怨み屋とその工作員たちによる復讐代行業の話。
「軽い感じ」「ひねりのない感じ」「微妙に不自然な感じ」が病みつきになる作風。これを狙ってやってるならすごい。例えばこれ。「ウラミヤ」と聞いて、「浦廻谷」なんて字を思い浮かべる人がいるだろうか?
栗原正尚、全 20 巻。どうもドラマ化もされているようだ。
広告
主人公
怨み屋 (宝条 栞, ほうじょうしおり)
本名不明、イニシャルは S.H. とされており、後半で名前や生い立ちがわかってくる。
普通、これ系統の漫画の主人公はかなり高い倫理感をもっているものだが、怨み屋にはあんまりない。26 話、串焼き屋のトラブルで、関係ない客を食中毒にさせた解決方法は相当に非道なもの。
報酬は数百万以上と高額。聖福教という宗教団体に関わりがある。
名言- しかるべく!
- 私は「怨み屋」!!! 「殺し屋」ではありません。怨みの無い殺しはしない主義です。
ヒーロー
情報屋 (獅堂詠示 しどうえいじ)
怨み屋のパートナー。複数の戸籍をもっていて、その中には怨み屋と結婚しているものもある。最初はフケまみれの不潔なキャラだったが、髪を切ったあたりから格好良くなっていく。クラッキングスキルや情報網を生かして活躍する。
仁義を重んじ、怨み屋よりもかなり正義感がある。トメ吉という名前の亀を溺愛しており、通っているペットショップの息子 (中学生) のために無償で働くエピソードも。
名言- 人間は太陽に向かって歩けば影を踏まない お前さんは影を踏むにはまだ早い
サブ
シュウ (宝条 脩)
怨み屋の実弟にして、熟女専門ホストで、ホストクラブの客にヨシエさんという強い味方がいる。通信教育でボクシングを習っていて、それなりに強い。ツボマッサージ三段の資格も通信教育で取得。
虐待を受けていた女子高生の杉河里奈 (すぎかわ りな)、オタクの十二月田猛臣 (しわすだ たけおみ) とともに怨み屋本舗の工作員。
雑感
怨み屋本舗シリーズの順番
多数の続編がある。順番通りに並べてみよう。
巣来間風介 |
横浜支店の元マジシャン工作員、巣来間風介を主人公とする。本編から数ヶ月後の設定で、高校を卒業した杉河里奈が、大学の近くにある横浜支店に移動して引き続き登場。本店のメンバーも普通に出てくる。 巣来間は、世を忍ぶ仮の姿として、眼鏡をかけて地味に役所で使えない公務員を演じている。「必要悪」が怨み屋の哲学だが、巣来間は正義感で動く傾向があり、仕事に私情を挟まないことを繰り返し確認される。父はドクター・マルクスというマジシャン。 支店長の「シェケナべく」は病みつきになる。 巣来間および刑事の寄木に因縁のある詐欺集団が、全体を貫くストーリーになっている。詐欺のマニュアルを売り歩く絆創膏の女。探偵学園 Q のケルベロスや、金田一の高遠みたいな感じ。 厚木支店は、独自の正義を追求した結果、勝手に復讐をしはじめたというエピソードが語られる。怨み屋が自身を「正義」ではなく「必要悪」とすることの背景。 |
Reboot |
再び本店に場面が移り、前作では入院していて出番のなかった曽武川由香 (そむかわ ゆか) の出番が増える。曽武川が reboot 計画を心に秘め、何かを企んでいるという設定で中盤過ぎまで引っ張る。 前作に比べて、とくにこのシリーズの後半から各エピソードが長くなる。怨み屋の性格が解釈しにくくなってきて、里奈との関係に焦点が置かれる。 再起動 reboot の意味は、最終巻の 13 巻で明らかになる。ネタバレなので、一応クリックで展開するように隠しておく。 |
Revenge |
さすがにネタが切れてきたのか、押しかけてくる友人とか、これまでにもあったストーリーも多い。しかし、いろいろな要素を加えているので、一つのエピソードがますます長くなっている。シュウが社長になっている。 |
Evil heart |
初期からのキャラであった寄木刑事の娘・寄木桜花が里奈にかわるヒロインとして工作員に。ラスボスの Evil Heart (のちに Devil Heart) となるのは子供で、前作から若干小物化した印象が否めない。 |
Worst |
怨み屋と情報屋が再び中心になり、依頼人の恨みを解決する原点回帰的なシリーズ。漫画村 (作品中では「漫画町」)、交通事故を起こした「上級国民」の老人、駅で女の人にぶつかりながら歩く男、マスクの転売など、実際の事件をネタにしたエピソードも。全 21 巻。 |
DIABLO |
依頼の対象となる悪人たちが、共通のタトゥーをしている。犯罪プランナー DIABLO が黒幕となるシリーズ。変人・白鹿名 飛鳥 (しろかな あすか) がチームに加わる。2024 年 3 月現在、5 巻まで読了。 |
コメント欄
サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。