お勧めコミック: 新世界よりのレビュー
はるか未来、人間は強力な超能力である "呪力" を身につけ、便利で平和な生活を送っていた。しかし、子供たちは間違った呪力の使い方を覚えないように
主人公の早季と仲間たちは、夏季キャンプで偶然に世界の秘密を知ってしまう。現実と折り合いながらなんとか町を良くしようと努力する成長後の早季と覚。そんなときに、人間が奴隷として使役している
原作の小説は
原作 貴志祐介 漫画 及川徹、全 7 巻。
主人公
渡辺早季 (わたなべさき)
この物語は、基本的に主人公・早季の回想という形で語られてゆく。呪力が身に付く前後の小-中学生時代と、保健所のバケネズミを管理する部署で働く 26 歳の姿で登場する。左の絵は小学校時代の恋人 (候補) 青沼駿との一場面。
どんな状況でも自分を失わない心の強さをもち、さらにテロメアを制御できるという呪力の特性から、
残念ながら主人公としての評価は低い。成長後は胸が強調されすぎで、ただのエロ漫画キャラクターのように見える。単に奇狼丸のおかげで結果オーライとなった最後の洞窟での判断も疑問。
ヒーロー
朝比奈覚 (あさひなさとる)
早季の幼馴染。
成長後は、呪力と洗脳の問題を解決し、町を救う道を求めて遺伝子研究の道へ進む。社会制度を変えることを考えてバケネズミ管理の仕事に就いた早季と協力しつつ仕事にあたる。
地道な努力にも関わらず報われない感のあるヒーローであるが、最終的には早季と結婚する。また、バケネズミの染色体が 23 対であることから、この種が人間を基盤として作られた可能性を指摘する。
サブ
この作品のもう一人の主人公と言えるのがデバネズミ。ハダカデバネズミから呪力によって強制的に進化させられた種であり、コロニーを形成して女王のみが繁殖を行うという
スクィーラ
塩屋虻 (しおやあぶ) コロニーの奏上役、つまりボスであるバケネズミ。口が達者で、女王に支配される旧弊なライフスタイルからの脱却を夢見ている。塩屋虻は最初は弱小コロニーであるが、次第に勢力を増し、やがてスクィーラの知性を武器に革命を引き起こす。はたしてその結末は・・・
名言- 奇狼丸は、勇敢な将軍ではあったが、旧弊な思想に凝り固まった爺いにすぎなかった。やつには、まったく本質が見えていなかった。コロニーの実験を女王が握っている限り、改革など不可能だということを。
- 我々は、高度な知性を持った存在です。あなたがたと比べても、何ら劣るものではない。違いはといえば、呪力という悪魔の力を持つか否かだけだ。
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奇狼丸
奇狼丸は大雀蜂 (おおすずめばち) コロニーのボス。勇猛果敢なことで知られる猛将で、大きな口が特徴。古風な言葉を用いた直球のセリフ回しは個人的にツボに入る。スクィーラとは対照的に、女王を頂点とするコロニー体制を維持しようとする。最後の大活躍は涙無しには読めない。
名言
- 我々の社会には、繰り言は、墓穴に入ってから蛆に聞かせろという諺があります。皆さんは、諦めが早すぎる。我々の種族は、心臓が鼓動を止める、まさにその瞬間まで、逆転する方策を捜し求めます。
- 生みの母にロボトミー手術を行い、奴隷化するような社会だけは、絶対に到来させてはならないのです。
- それだけ聞けば、思い残すことはありません。あの口先三寸の外道の野望を、とうとう木っ端微塵に打ち砕いてやれると思うと、わくわくして待ちきれませんな。
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雑感
小説版の「新世界より」
原作は新書で約 1000 ページ、文庫なら全 3 巻の長編小説。回想という形で早季の一人称で書かれている。「蛇足かもしれないが」という断りが入った締めの文は本当に蛇足に思えるが、あえてこれを入れた作者の意図も考え深い。導入部も妙に思わせぶりな表現が多いが、これも主人公の微妙な筆力まで表現していると解釈。
前半の説明がとっつきにくいが、
ハダカデバネズミ
ハダカデバネズミ Heterocephalus glaber は、役割分担のある集団生活を送り、かつ同サイズのマウスなどよりも数倍長い寿命をもつことで有名になった齧歯類である。
子供を作らない階級が存在する場合に
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