映画の感想: KANO ~1931 海の向こうの甲子園~

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このページの最終更新日: 2021/02/07

作品紹介と感想

KANO ~1931 海の向こうの甲子園~ の感想。関連作品がたくさんあるようなので、ビデオへのリンクでなく検索ウィジェットを貼っておく。



日本が台湾を統治していた時代の話。まだ勝ったことのない台湾の野球チームが、甲子園の決勝戦まで奇跡的な進撃を見せた。この実話に基づいた約 3 時間の長い映画。台湾映画だが、この時代背景から日本語の場面がほとんど。

何と言ってもすごいのは、これが 実話である ということだ。タイトルの KANO は華農という高校の名前。甲子園で勝ち進んだ選手の一人は最近まで生きていて、彼へのインタビューに基づいてストーリーが作られている。Wikipedia に詳しい記事があるように、かなりの部分が史実に基づいているようで驚きである。

ヒロインになると思われた女の子が、あっさり医者と結婚してしまうのも妙に現実的。

突っ込みどころもたくさん目に付く。「パパイヤの根元に釘を打つと、パパイヤは大きな身を実らせる」という研究をしている先生がいる。このエピソードが「逆境が成果に結びつくこと」の例えとしてよく使われている。しかし、これは多分パパイヤの木が死にそうなので養分を実に移しているだけのことで、大きな実を実らせた後、パパイヤは枯れてしまうのではないか。運河の整備との関係も、蛇足だったように思う。

ちょっと脱線すると、致死に近いような非常にストレスフルな条件下におかれたとき、生物の応答の仕方は大きく 2 つに分けることができる。一つはなんとか生存しようとする応答で、一般には成長、繁殖、代謝などを抑制し、エネルギーをストレス応答に向ける方法である。こちらの方が一般的と考えられている。もう一つは、自分の生存を早々に諦め、子供に望みを託す応答である。例えばミジンコは、強いストレスを受けると「耐久卵」という強い卵を産み、親はけっこう潔く死んでしまう。上記のパパイヤの例などはこれに相当するのではないかと思う。

演じる野球の監督。古き良き日本の頑固親父という描き方だけど、個人的にこういうキャラは嫌い。すごく「日本的」な感じのするオヤジだが、台湾映画で肯定的に扱われているのがちょっと驚きだった。


「日本が台湾の発展に貢献した」という主張

きちっと場を作って論じるべき問題である。言葉足らずになるかもしれないが、私の意見をここに簡単に書いておく。私にとっては、以下のようにものすごく自明な問題である。

台湾の占領は、日本が起こしたアクションである。物事には positive な面と negative な面があるのが普通であり、占領によって positive な効果が生じた可能性は否定しない。

しかし、日本語を習わされたり、名前を変えさせられたりしたことは明らかに negative な面である。「強制ではない」などと主張する人もいるようだが、一人でもこれを不快に感じた人がいるならば、これは negative だったと言える。

普通に考えて、こんな状態で日本が positive な面を強調したらダメだろう。日本はまず negative な面を謝罪する。それが受け入れられるなら、台湾は positive な面を強調し、一緒に未来を考えましょうと言ってくれるはず。人間関係の基本だと思うんだけど、日本側から「こういういい面もあった」とか言っちゃダメだよなあ。


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