映画の感想: Defiance デファイアンス

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このページの最終更新日: 2024/01/23

  • 作品紹介と感想
  • なぜナチス・ドイツはユダヤ人を迫害したのか

作品紹介と感想

Defianceは「果敢な抵抗」を意味する英語。ナチス・ドイツ占領下におけるユダヤ人の抵抗を、ビエルスキ兄弟を中心に描いた 2008 年のアメリカ映画。



実話に基づいた映画。もとは小説だが、映画的なシーンを入れるために多少盛ってる部分もあるようだ。

舞台はベラルーシ。1941 年、ドイツ軍がベラルーシに侵攻し、ユダヤ人狩りを始める。地元の警察もドイツ人に協力。このユダヤ人への迫害は、ドイツ国内で行われたようなイメージだったが、ドイツが侵攻した国々にも及んだ。ちなみに、初めてガス室実験が行われたことで有名なアウシュビッツはポーランドである。

トゥヴィア Tuvia, ズシュ Zus, アザエル Asael, アーロン Aron の 4 兄弟が主人公。とくに Tuvia, Zus が活躍する。彼らは両親を殺されてしまい、森へ逃げてユダヤ人コミュニティーを築き上げる。

Tuvia と Zus は途中で方針をめぐって対立。暴力は最小限に留め、森で生き抜くことが抵抗だと考える Tuvia と、ロシア軍抵抗勢力と結託して積極的に武力で反撃する Zus。いったんは物別れになるが、最終的には Tuvia のピンチを見捨てようとするロシア軍と Zus が決別し戻ってくる。

森での暮らしは悲惨。寒い地域では暮らしていくことだけでも大変だ。


なぜナチス・ドイツはユダヤ人を迫害したのか

この場で簡単にまとめられるような小さな問題ではないが、一応私が理解している範囲で書いておく (1, 2)。

ナチス・ドイツでみられた「反ユダヤ主義」には宗教的な背景があり、その発端はなんと数千年前に遡る。ユダヤ人は、エジプトで迫害を受け、モーセに率いられて脱出した民である。旧約聖書は彼らの歴史についての書物とも言え、旧約聖書の基本的なアイディアは「神は、選ばれた民であるユダヤ人を救う」である。これがいわゆるユダヤ教。旧約聖書にある様々な儀式も重視される。

イエス・キリストは、神とユダヤ人の間の契約を結び直し、faith を持つものはユダヤ人であるか否かに関わらず、誰でも救われるとした。この「新しい契約」についての経典が新約聖書であり、これがキリスト教である。

しかし、イエスの存命中、多くのユダヤ人はこの教えを認めなかった。それどころか、旧約聖書にあるモーセの律法に基づき、イエスを死刑にすべきと主張。つまり、キリスト教徒によってユダヤ人は基本的に敵である。ただし、実際にイエスを十字架にかけたのはユダヤ人ではなく、ユダヤ社会を支配していたローマ人である (ユダヤ人の圧力に負けて、というような書かれ方をしているが)。

驚くべきことに、このようなユダヤ人への反感は、20 世紀になっても持続していた。ユダヤ人は職業選択の自由が限られており、金融業に従事する人が多かったが、これもヨーロッパ民から恨みを買う一因であった。

実際に、多くの戦争はユダヤ人の金融資産をもとに行われていたようである。

ナチス・ドイスは、優生学の思想をベースとし外部に明確な敵を作ることで、国家の統一を目論んだ。ユダヤ人はこの格好の標的だったようだ。関連する書籍を 2 つ挙げておく。

References

  1. Web 歴史街道. ユダヤ人はなぜ、ナチス・ドイツの標的にされたのか. Link: Last access 2020/11/25.
  2. なぜイエス様は十字架で死んだのでしょうか。 Link: Last access 2020/11/25.

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