おすすめ漫画: 天 天和通りの快男児 のレビュー
概要
アカギ、銀と金、カイジなど多数のヒットを飛ばした著者の、初めての人気作品である。アカギの方が有名になった感がある、実はこの「天」が最初で、アカギはそのスピンオフ。
近代麻雀で 1989 - 2002 にかけて連載。ちなみにアカギは 1992 - 2018 で、かなりの期間にわたって重複している。数人しか人がいないのに「ざわざわ・・・」や、場を取り仕切る黒服など、ネットで人気になった場面はすでにこの時点でみられる。
「流れ」をかなり重視した麻雀理論を採用している。確率論的にはありえないのだが、自分が正しい闘牌をすると次局の配牌が良くなるとか、敵のロン牌をツモってきたから勢いがあるとかが当然のように語られる。
主人公
天 貴史 (てん たかし)
最初は、見え見えのイカサマで天和九蓮宝燈をアガるが、実は弱いという変なキャラだった。第二話などは完全な人情噺。赤木が登場するあたりからは、完全な麻雀漫画になる。
傷だらけなのは、イカサマのアガりのあとに叩きのめされるから。相手だけを傷つけることができない、福本流の優しさである。
一応、天が主人公なのだろうが、この漫画を通して大きく成長する井川ひろゆきも、主人公クラスの扱いを受けている。
ヒロイン
名前なし
基本的に、福本漫画は女性キャラが極めて少なく、天でもほとんど出てこない。最初の数話、まだ話が麻雀にフォーカスしていないころに天と暮らしていた女性を挙げておく。
ナチュラルに複数プレイに及ぶなど、常人の理解を超えた行動をみせるが、このレベルで「全てを分かち合ってしまう」人々もこの時代にはいたのかもしれないと思わせる。最終巻で、天が「うちには嫁さんが二人いる」と言っているので、たぶんそのうちの一人。
サブ
赤木 しげる (あかぎ しげる)
言わずと知れた天才雀士。闇の世界に 3 年ほど君臨したあと引退。この頃には既に全盛期を少し過ぎているという描写がある。
アルツハイマー症を患い、廃人になる前に安楽死することを決意した赤木を、仲間たちがなんとか思いとどまらせようとする「通夜編」は、異色ながらも引き込まれるエピソード。原田とひろが会話するのは意外と好きな場面。ものすごく立場が異なる二人だが、自然にああやって話せるのも、熱い東西戦を戦った仲間意識のようなものがあるのだろう。
享年わずか 53 歳。「生前そんなに笑う人じゃなかったのに 思い出の中の赤木はいつも笑っている」にはほろりときた。漫画は「天」なのに、最後の一コマも赤木で締めている。
名言
- 自分の本心に沿って執着を整理していくと いつの間にか自分を信じ 同時に捨てている 同時だ・・・ 分つことはできない・・・!
続編、スピンオフなど
アカギ |
本編よりも有名になったスピンオフ。最初の方は雰囲気・テンポともによかったのだが、なんと 8 巻からずっと鷲巣麻雀。10 巻を超えるあたりからコマ割りが大きくなり、悪鬼や邪鬼が出てくるようになる。鷲巣が地獄で延々と鬼と戦っていたときはどうしようかと思ったが、なんとか完結してくれて嬉しい。 完結編もネットでは賛否両論のようだが、個人的には良かったと思う。アカギは無頼ではあるが、夜中に板前を叩き起こしてフグ刺しを作らせたり、友人とハワイにゴルフに行ったりと、意外と俗で可愛らしい一面もある。そこが治とのほのぼのした旅で垣間見えて、なんとなくホッとした。 |
ワシズ |
まだ未読。これも絵柄が独特だが、機会があれば手に取ってみたい。 |
HERO ―逆境の闘牌 ― (Amazon link) |
ひろゆきを主人公としたスピンオフ、アカギの死から 3 年後。これはちょっと絵柄が馴染めず、感情移入できずにいる。 |
闇麻のマミヤ |
女性主人公という異色の福本作品。アカギの死から 20 年後。治が登場する。 |
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