お勧めコミック: 進撃の巨人
概要
最初に読んだとき、ちょっと残虐なシーンが多くて、巨人がグロいけど、立体機動装置を使った人間と巨人の戦いが面白いと思った。エレンが初めて巨人になったとき、「人と巨人の戦いが面白いのに、これじゃあ単なるモンスター同士の戦いで、工夫するところが全然なくなっちゃうじゃないか」と思って、ちょっと失望した。
この失望は良い意味で裏切られて、進撃の巨人は一番お気に入りの漫画の一つになった。作者の深いプロットに感服。ネットの考察も楽しめるけど、「伏線! 伏線!」「回収されましたね!!」を連発されるのはうんざり。
この作品を評するのに「ダークファンタジー」という言葉が多く使われるが、個人的にこの言葉は好きじゃなかった。この記事を書いたときに、好きじゃない理由も まとめてみた。
諌山 創、既刊 29 巻。

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主人公
エレン・イェーガー
9 つの巨人の一つ「進撃の巨人」を身に宿す。自由への渇望と、母親を喰われたことによる巨人への強い憎しみが特徴の主人公。
最初は「進撃の巨人」というタイトルの意味がわからず (明かされてなかったので当たり前だが)、巨人が壁の中に進撃してくる様子を、ちょっと変わった日本語で表現したのかと思っていた。この作品の英語名は Attack on Titan で、どういう経緯かわからないが、本来の意図をちょっとだけ反映したタイトルになってるかもしれない。
名言
- やっぱりオレは・・・ お前と同じだ。多分・・生まれたときからこうなんだ。オレは進み続ける。敵を駆逐するまで。
ヒロイン
ミカサ・アッカーマン
作品中で最強レベルの強さを誇り、敵を殺せない仲間にプレッシャーをかける異色のヒロイン。長身で筋肉質。アッカーマン一族は「巨人科学の副産物」という言葉が出てきたが、どういう謎解きがあるのか楽しみ。
幼い頃にエレンに命を救われ、両親を失った絶望から救い出してもらったことがあり、エレンを守るために命をかけている。エレンから巻いてもらったマフラーが宝物。
名言
- この世界は残酷だ・・ そして・・ とても美しい。
- ごめんなさいエレン・・ 私はもう・・諦めない。死んでしまったらもう・・あなたのことを思い出すことさえできない。
- 私には・・この世界に帰る場所がある。エレン・・あなたがいれば私は何でもできる。

サブ
ライナー・ブラウン
「鎧の巨人」の中身。エレンと敵対する側で、最初のうちはなぜ壁の中の人類を攻撃してくるのか書かれていなかった。
後半になってライナーにスポットが当たることが増え、過去が描かれるにつれてライナー株が急上昇。7 SEEDS の安吾に通じる、壊れっぷりが堪らないキャラになった。何も知らないうちに洗脳されてパラディ島に送り込まれたのは悲劇そのもの。残りの寿命も短いが、是非幸せになってもらいたい。
ちなみに、再読して気に入ったのはジャン。目つきの悪さや、だんだんと真面目・仲間想いになってくところが良い。
ネタバレ・伏線の一覧
気づいたことやネット情報を書いていく。非常に考え込まれた、奥の深い物語である。最初は巻数でまとめていたけど、それが適切じゃない場合には数字を省いている。
名探偵コナン、サマータイムレンダ にも似たようなまとめを作っている。
巻数 |
主な内容 |
1 巻: 第一話タイトル |
「二千年後の君へ」。このタイトルがあることが、最終話までのプロットが既に出来上がっていたという証拠である。 第 80 話のタイトルが「二千年前の君から」で、第 1 話のものと対応している。80 話ではエレンが巨人の始祖・ユミルを抱きしめて「待っていたんだろ ずっと 二千年前から誰かを」という場面がある。 |
1 巻: ミカサの髪 |
「いってらっしゃい エレン」「ミカサ・・ お前・・ 髪が伸びてないか?」 |
1 巻: ハゲ教官 |
壁の外から帰ってきて「なんの成果も!! 得られませんでした!!」と言ったのは、エレンたちのハゲ教官。髪型が違うのでわかりにくい。 |
1 巻: ミカサの頭痛 |
基本的には、エレンへの想いが強く表れるときに頭痛が起こる。一般には、始祖ユミルがミカサの頭の中を覗いているためと解釈されている。 |
1 巻: グリシャの目線 |
グリシャが子供エレンに「帰ったら・・ずっと秘密にしていた地下室を・・見せてやろう」と言ったとき、目線はエレンを向いていない。過去を除いていた大人のエレンの方を見ていたことが第 79 話で明かされる。 |
1 巻: カルラを食べた巨人 |
エレンの母・カルラを食べた巨人。第 57 話で、この巨人はカルラの夫であるグリシャ・イェーガーの前妻、ダイナ・フリッツであることが明らかになった。ダイナは、巨人化の注射を打たれる前に「どんな姿になっても・・あなたを探し出すから」と言っており、これがエレンの家に向かった理由と思われる。 |
1 巻: 訓練兵卒業 |
訓練成績上位は、ミカサが 1 位だが、2 - 4 位は巨人のライナー、ベルトルト、アニ。 |
1 巻: ユミルの名前 |
キーワードとなる「ユミル」という名前はしばらく出てこない。コニーが彼女を呼ぶときも「クソ女」と言っている。ユミルという言葉が初めて出てくるのは 5 巻のイルゼ・ラングナーの手記で、巨人の言葉としてである。 なお、ユミルは女神の名をつけられて祭り上げられた少女。巨人としてパラディ島を彷徨っていたが、始祖の巨人奪還のために送り込まれたライナーたちの仲間・マルセルを食べて「顎の巨人」となる。 |
1 巻: 巨人の襲撃時 |
そうとわかって読むと、ライナーやベルトルトの言動はかなり明らか。 |
レイス家 |
真の王家。レイス家の血を引く者が「始祖の巨人」の力を得ると、人々の記憶を消したり、壁を築いたりすることが可能になる。しかし、その場合は初代王からの記憶を引き継ぐことになり、その思想に支配されて壁の中の人類を解放するような行動は取らなくなってしまう。ロッド・レイスには 5 人の娘がいたが、全てグリシャが殺してしまい、いまは妾腹の子ヒストリアのみが生き残っている。 |
九つの巨人 |
巨人の脊髄液を注射されると、巨人になってしまうユミルの民 = エルディア人。巨人の状態で、意思を保てる「九つの巨人」を食べることで、その記憶もろとも「九つの巨人」を継承できる。ただし継承から 13 年しか生きられない。 |
マーレとエルディア |
エルディア人はかつて巨人の力で世界を支配していたが、軍事大国マーレに降り、収容区の中で過ごす集団 (例えば幼い頃のグリシャ) と、「名誉マーレ人」として軍で過ごすライナーたちのような集団に分かれている。また一部は初代フリッツ王とともにパラディ島に引きこもり、始祖の巨人の力を使って人々の記憶を改竄。壁の中の「平和」を選んだ。これがエレンたち。 世界の世論はエルディア人を滅ぼすという方向に傾いている。これはパラディ島に資源があること、軍事技術が発達して巨人の有用性が弱まりつつあること、過去のエルディア支配への恨みが背景にある。ライナーたち「名誉マーレ人」たちは、始祖の巨人をパラディ島から取り戻すためにパラディ島へ派遣された。エルディア人はかつて世界を蹂躙した悪魔の子孫であると洗脳されている。 |
アッカーマン |
ユミルの民は、始祖の巨人の力で記憶を改竄されている。その他の人種には始祖の巨人の力は及ばない。そのような人種の一つがアッカーマン家。ミカサ、リヴァイ。 |
ジークの意図 |
ジークは王家の血を引いており、始祖の巨人と接触するとユミルの民や巨人を支配できるようになる。始祖の巨人をもつエレンと接触して、ユミルの民が子供を作れないように改造し、民族の安楽死を目指していた。 |
エレンの意図 |
エレンはジークに賛成する振りをして接触。壁の外の人類を滅ぼし、壁の中にいた仲間を守るために「地鳴らし」を発動した。ミカサ、アルミンたちが自分を殺して、世界が平和になった後に英雄としてずっと安全に過ごせることを狙っていた。つまり、パラディ島の住民が世界から憎まれる状況を終わらせたかった。 進撃の巨人は、未来の記憶を見ることができる。エレンは自分が「地鳴らし」を起こすことを知っていた。始祖の巨人の力を使って未来から過去のダイナ・フリッツ巨人を操り、母・カルラを食べさせている。これによって、幼少期のエレンが巨人を恨むように仕向け、現在の未来へと繋げている。 「あの日、ベルトルトは死ぬべきじゃなかった」というセリフも、エレンが過去の巨人を操っていたことを示すものである。845 年時点でベルトルトが死んでしまうと、その後の襲撃の歴史が変わってしまうため、ダイナ・フリッツ巨人を操作してベルトルトが食べられないようにしている。 |
ミカサの結婚 |
子供を連れてエレンの墓参りをするミカサらしき後ろ姿が描かれている。夫が誰かはっきりと描かれていないが、ジャンという説があるようだ。 |
最後の木 |
ユミルが入り込んだ木と同じ形をしている。少年が入り込むと、中にはエレンが眠っていて、同じように巨人の力を得て・・・となる可能性を暗示しているという解釈が多い。 |
参考サイト
- 進撃の考察. 2015/3/3 記事. Link: Last access 2025/04/15.
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