小松左京「さよならジュビター」の感想

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このページの最終更新日: 2021/02/07

作品紹介と感想

とにかくスケールが壮大 な SF 作品。子供の頃から何度も読んでいる。私の好きな小松左京作品ランキング 一位。

作品の舞台は 22 世紀。惑星工学が発展し、火星の氷のプレートを溶かして資源にする計画が進んでいた。プロローグでは、火星の氷層の下からナスカ絵が現れてくる。この地上絵は、遥か昔に太陽系にやってきた宇宙人からの警告のメッセージだった。実は映画のノベライズ作品。

雰囲気が似た作品、というか、同じように スケールの大きさが好きな作品

  • 火の鳥
  • 7SEEDS (コミック)

一昔前の二流 SF のアイディア

批評も多い作品だ。とくに 映画はひどい評価を受けている。曰く、一昔前の二流 SF のアイディア。確かに、ブラックホールが地球に向かってくるなんてのは使い古されたストーリーかもしれない。映画の公開が 1984 年なので、現在から見ると一昔前どころではない。

読ませる作品に仕上がっているのは、たぶん圧倒的なディーテールと筆力のおかげだと思う。とくに、荒れ狂う木星の大気に宇宙船でダイブしていく描写は、他の作品では見たこともないほどの迫力に溢れている。

太陽系のはるかかなたにある彗星源からやってくる彗星が激減し、探査のためその方向に飛ばした宇宙船も行方不明になる。現在の読者なら「ああ、ブラックホールね」という感じだと思うが、たぶん 1980 年代には珍しいアイディアだったのではないかと思う。この「何かが迫ってくる」雰囲気も、緊張感をもって描かれている。


タイトル

惑星資源を利用するプロジェクトの一つとして、木星に人工的に核融合反応を起こさせ、太陽系開発のためのエネルギーとする js 計画が進んでいる。結局、木星をブラックホールにぶつけて軌道をそらすことになり、これがタイトルの由来だ。

このほかに、ヒッピー的な価値観の宗教団体が出てきて、木星の破壊を邪魔しようとする。その教団のシンボルが「ジュピター」という名前のイルカで、これがサメに襲われて死んでしまうのだけど、これとかかったタイトルになっている。


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その他の好きなところ

第 5 章でリンドバーグから話が再開する間の取り方がたまらない。

詰め込みすぎ なところ。木星の大気の中に宇宙船が沈んでいて、これを探索するのが前半の目的なのだが、ブラックホールの話が出てくると宇宙船は忘れられる。これは批判されてるポイントでもあり、まあ実際いらないエピソードでもある。しかし、あえてこれを入れてしまった勢いが逆に良い。


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