「准教授・高槻彰良の推察」民俗学かく語りき

いないはずの隣人

幼い頃の超常体験から、他人が嘘をついていると声が歪んで聞こえるようになってしまった深町。この能力のために、常に他人との間に線をひいている。大学に入り、民俗学を教える准教授、高槻と出会う。

高槻は、イケメンで瞬間記憶能力がある恵まれた研究者。常識がなく、推理力はある。民俗学的に面白い超常現象があると、子供のようになる。

どちらも良いキャラ設定だと思うのだが、どうも高槻に対する深町のツッコミに馴染めない。老人の愚痴みたいなものなのだろうが、ネットで書くぐらいは許されるだろう。

「自分の恐怖症を他人にまで広めないでください」とか、「すごく学者っぽい言い回しですね、それ」などというセリフが、ほぼ初対面の状態で出てくる。初めて個人的に話す教員に対してはかなり失礼かつ不自然で、なんというかラノベ。

どう関係しているのか自分でもはっきり言えないが、ソードアートオンラインのキリトの、パーソナリティーをなんとなく掴みきれない微妙な感じに似ているか。高槻は好きになれるが、深町があんまり好きになれず、男同士のいちゃいちゃがちょっと鼻につく。

針を吐く娘

最初のエピソードで感じた違和感は、まだあるものの薄れてきた。自分に針を刺すのは怖いな。健ちゃんや瑠衣子が本格的に登場。高槻に羽根のもげた跡があることが明かされる。

神隠しの家

高槻の神隠しも明かされる。洋風な感じがしていたが、天使じゃなくて天狗だった。

「准教授・高槻彰良の推察 2」怪異は狭間に宿る

学校には何かがいる

コックリさんの話。「わからないから怖い、怖いから説明を与える。その説明が怪異でも、わからないよりはまし。昔は、怪異が説明に使われることが多かった」というのが、何度も出てくるテーマになっている。このエピソードではないが、「リング」が例に使われていることがあった。確かに、あれで怖かったのは貞子の意図がわからないこと、ちゃんと供養をしても呪いが消えないことだった。

スタジオの幽霊

映画撮影現場の幽霊の話。風邪の深町を高槻が見舞うシーンがある。前から気になってたんだが、彼らはいちゃいちゃし過ぎてるな。大学生の男の頭なんて触りたくないし、そういう場面もあまり見たくないんだが… 作者は女性なのではないかと推察する。

風邪で一時的に嘘が聞き分けられなくなる。飯沼登場、高槻が資産家社長の子供であることなど。

奇跡の子供

流行り神の話。高槻の子供時代、母との関係。

「准教授・高槻彰良の推察 3」呪いと祝いの語りごと

不幸の手紙と呪いの暗号

不幸の手紙の話。図書館のマリエさん。これも怪異ではなく人間が原因の話だったが、最後に本が落ちるところなど、徐々に怪しげな気配が漂ってくるような展開になっているようだ。どこで本物の怪異に遭遇するのか、というのもシリーズのポイントになってきそう。

高槻 35 歳のサプライズパーティー中、健ちゃんが刺されたという連絡が入る。

鬼を祀る家

実際の死亡事件あり、六部殺しの話など。

「准教授・高槻彰良の推察 4」そして異界の扉が開く

四時四十四分の怪

いよいよ本物の怪異か、と思わせぶりなタイトルの第四巻。深町が 2 年生になった。深町と同じ体験をして、嘘を聞き分けられる遠山が登場。

人魚のいる海

かなり本物っぽい感じになってきた。手相を読む魚屋とか。高槻を育てたおじさん、渉が登場。深町に、高槻の子供の頃の話をするが、内容は本文中では示されない。巻末の extra で語られる。

「准教授・高槻彰良の推察 5」生者は語り、死者は躍る

百物語の夜

沙絵さん、学食で再登場。おそらく本物。花を咥えて来る猫はかわいい。

死者の祭

いよいよ深町の秘密に迫る重要エピソード。高槻と深町は死者の祭に呼ばれ、山神様に寿命を奪われかかる。しかし八尾比丘尼と判明した沙絵によって危機一髪助けられる。高槻は背中に傷を負った経緯を思い出しかかるが、もう一人が現れ、逆に長野の記憶を失ってしまう。

一応、深町の問題は解決されていないものの、秘密は明らかになった。高槻に何が起こったかは不明のまま、という感じか。

「准教授・高槻彰良の推察 6」鏡がうつす影

お化け屋敷の幽霊

日常に戻ってくる。お化け屋敷の話。恐怖に対処するために「脳内麻薬」が分泌され、そのせで恐怖が去った後にハイになるというのは面白かった。

肌に宿る顔

人面瘡の話。高槻の従兄弟が登場。

紫の鏡

この怪談は聞いたことがなかった。単なる駆け落ちで決着かと思いきや、実は本物の異界に繋がる鏡だった。「もう一人の高槻」のおかげで難を逃れ、その後深町は「もう一人」と会話する。

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