おすすめ小説: 湊かなえ「告白」の感想
TBSドラマ,湊かなえのリバースが面白かったので,原作の小説を読んでみようかと思った。ふと 2010 年に松たか子主演で映画化された湊かなえの「告白」も好きだったので,この機会に再読,感想をまとめた。
この本は,
この微妙に不安な感じがクセになる名作だ。
あらすじ
中学校教師・森口悠子の子供の 4 歳の女児が,学校のプールで死亡する。事故か,殺人か? 二人の生徒が犯人であることを確信した森口は,パックの牛乳にエイズの夫の血を入れるという復讐をする。これが第 1 章。HIV の話が出てくるが,あれはこの前後で流行った「神様,もう少しだけ」のこと。
第 2 章では,委員長の美月の視点からその後の展開が語られ,3 章では犯人の少年の一人の母の日記が示される。第 1 章の事件を異なる視点から見ていて,はっきり言えばかなり見方が歪んでいる。
しかし読者はこれを読むと,1 章の先生の視点もこのように偏っていたのではないかと感じてしまう。最初に読んだ章なので正しいという先入観があったが,そういえばあの文章もかなり偏っている。。。
次は誰だ? と期待させつつ,第 4 章,第 5 章で犯人の少年たちの独白に移る。事件の様相がだんだんと明らかになってくるのも面白いが,唯一まともな登場人物に思えた委員長・美月もかなり壊れていることがここでわかり (それすらも真実である保証はないが),足元がぐらつくような気持ちになる。
最終章で再び森口先生が登場。結論はハッピーエンドかカタストロフィか。
ネットにさまざまな解釈があるので,いろいろと検索してみるのも面白い。Amazon のレビューも必見。第 1 章は,もともと一つの完結した短編だったらしい。2009 年本屋大賞受賞作品,その他各種ランキングに多数ランクインしている。
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