日本神話: ヒルコについて

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このページの最終更新日: 2024/04/22

  1. 古事記・日本書紀にみるヒルコ
  2. えびすとの習合
  3. ヒルコが出てくる物語

古事記・日本書紀にみるヒルコ

ヒルコ (蛭子、蛭児) は、古事記および日本書紀に登場する神である。

イザナギとイザナミが様々な神を産んで初期の日本を形作っていくのだが、最初に産まれたのがヒルコである。しかし、子作りの際にイザナミ (女性) からイザナキに声をかけたため、ヒルコは不具の子として産まれ、そのために捨てられてしまう。

古事記には、どのような不具であったかの記載はないが、「蛭子」という名前から手足が異形であったのではないかという説があり、このイメージが一般に受け入れられているようである。

以下は、古事記の「国産み神話」に出てくる神の関係を図にしたもの (1)。ヒルコは、正式には子として数えられていない最初の方の子供である。

なお、イザナギとイザナミはこの後も図に含まれていない多くの子供を産む。最後に産まれたのが三貴子 (みはしらのうずのみこ) アマテラス、ツクヨミ、スサノオである。正確には、イザナミは火の神であるカグツチを産んだ後に亡くなり、黄泉の国でイザナギが追いかけられるイベントのあと、地上に戻ってきて穢れを払うための禊をする。このときにアマテラス、ツクヨミ、スサノオを含む多くの神が誕生し、これらがイザナギ・イザナミが最後に残した神々である。

古事記「国産み神話」の神々

日本書紀では、ヒルコの説明が少し異なっているらしい。古事記と同じく、最初または 2 番目にイザナギとイザナミ産んだ神としている箇所もあるが、アマテラスとツクヨミのあと、スサノオを産む前に産まれたとしている部分もある。不具のために流されたとう点については同様である。

ヒルコが流れ着いたという伝説は、日本各地に残っており、それらは日本書紀の記述をもとにしているとされる。

実は、男女二柱の神が世界を産む過程で、最初の子が生み損ないになるという設定は、世界の多くの神話にみることができる。特に東南アジアを中心とした地域では洪水型兄妹始祖神話との関連が考えられている。

えびすとの習合

ヒルコは、しばしば七福神のえびすと同一視される (図は京都 恵比寿神社の恵比寿像、Public domain)。

えびすは記紀に出てこない神であるため、記紀の中に該当する神を探そうとする試みが古くから行われてきた。ヒルコとえびすを同一視する説は、室町時代に遡るらしい。海からやってくることが最大の根拠のようだ。

ちなみに、えびすを事代主とする説もある。事代主は海との直接の繋がりはないが、記紀神話の国譲りの項で、事代主が釣りをしていたことが結びつき、江戸時代ごろから提唱されるようになった説である。

京都 恵比寿神社の恵比寿像

ヒルコが出てくる物語

竜の棺

このページ にまとまっている。ヒルコに関する部分を読み返して更新予定。

サマータイムレンダ

2022 年前後に人気になった漫画・アニメ サマータイムレンダ では、敵のボスが300 年前に島に流れ着いたヒルコである。

ヒルコ自身は不定形で、人間や物などからデータを「スキャン」「プリント」して「影」を生み出せるという設定。

Twitter で、「記紀神話よりもヒルコの方が先に淡路島付近に存在し、それが干支の勢力に駆逐された話」という解釈もあった。潮 = 牛の王、シデは両面宿儺で、これも記紀よりも古い神らしい。正しいのかどうかわからないがメモしておく。

References

  1. Michey.M - 投稿者自身による著作物, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1509803による

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